ナゴルノカラバブ紛争
旧ソ連に所属していたアゼルバイジャン共和国はアゼルバイジャン人が多数を占める国家であったがナゴルノカラバフ自治州に居住するアルメニア人は隣国で同民族のアルメニアへの帰属を求め1988年から1944年までの間行われた紛争でこの期間に2万人の犠牲者と100万人の難民を発生させた。
アゼルバイジャンはアゼルバイジャン人が人口の8割を占める国家でありながらアルメニア人自治区のナグルノカラバフでは人口の8割がアルメニア人であった。この事からアルメニアへの編入を求めるアルメニア人に対して危機感を募らせたアゼルバイジャン人がアルメニア人を虐殺したことから民族戦争へと変貌していく。アゼルバイジャン人はイスラム教徒であり、アルメニア正教を信仰するアルメニア人とは文化的な違いも多かったが帝政ロシア時代から支配されてきたこの土地では民族問題を国家的圧力で押さえ込んできた。ソ連崩壊に伴い多くのソ連所属国家で同様の問題が発生しておりナゴルノカラバフはその象徴的な問題となっている。1992年5月8日にはイランの仲介で停戦を試みたが僅か1日でアルメニア人部隊がアゼルバイジャン側を攻撃し1994年にはアゼルバイジャン側の攻勢が始まる。それに対してアルメニアは本国から部隊を派遣しナルコガラバフを奪還。この事態からロシア政府は両国の仲介に乗りだし5月に停戦が実現した。1998年にはアゼルバイジャンのアリエフ大統領とアルメニアのコチャン大統領が平和解決を目指す共同声明を発表。紛争は一応の終結となった。これら紛争の背景には民族問題の他にロシアの持つカスピ海油田のパイプライン問題がある。カスピ海油田は第二のペルシャ湾と呼ばれるほどの石油、天然ガス埋蔵量を誇りロシアはそれら資源を海外に輸送するための長大なパイプラインを建造している。これらはカフカス地方を中心に張り巡らされておりパイプラインを領土に持つ国家はロシア政府から膨大な土地使用料を請求できる。この事からパイプライン経由地であるアゼルバイジャンの問題はロシアにとって軽視できない問題となっている。現在ナブコカラバフ自治州はアゼルバイジャン領であるが実質的にはアルメニア軍が支配しており平和宣言後も問題が生じる可能性は高い。
ロシアの保有するパイプラインの状況。