イスラム原理主義 イスラム原理主義はイスラム教開祖ムハマンドが神(アラー)からの啓示を書き留めた書物「コーラン」の教えを忠実に守るイスラム原理に基づいた思想で、アラーを唯一絶対神としている。近年それらの思想はテロリスト達によりイスラム国家建設の理想の体現としてテロなどに具現化されている。 本来原理主義とは宗教的に厳格なキリスト教の原理主義を指すが、近年ではイスラム教におけるイスラムへの回帰とイスラム国家建設を掲げる過激派の思想を指すようになった。本来は原理主義=テロでは無いのだがイスラム過激派がすべて原理主義に根ざす事から欧米ではそういった認識が一般的になっている。 元来イスラム教徒はキリスト教やユダヤ教と話し合いを持ち互いを保護する事を約束するなど寛容な宗教として知られた。しかしエルサレム奪還を狙った十字軍との戦いになどを経て異教徒との戦いを続けていく事になる。 イスラム原理主義は本来、社会体制の腐敗や文明社会の欠落を補うための社会理念であり、シャーリアと呼ばれるイスラム法を厳格に遵守するイスラム理想世界を目指す点にある。20世紀に入りこれらの思想は西側諸国に対する経済格差や貧困などの形で爆発し各原理主義グループはアラブ民族を資本社会の犠牲者と考えるようになっていた。 そのためこれら原理主義グループは聖戦の名の下に自爆テロや中東旅行者の誘拐や殺害といった行為に出ている。1997年にはエジプトルのクソールで外国人観光客を狙った銃撃事件が発生。自動小銃による銃撃で日本人旅行者10人を含む62人の旅行者が殺害された。この事件でエジプトに本拠地を置くイスラム集団が犯行声明を出した。 これらのテロは西側社会に対するアラブ、イスラム国家の蹂躙に対する抗議とされておりこの理念はどの原理主義組織にも共通している。 また原理主義グループは西側諸国と協調体制をとるアラブ国家にも批判的で国家転覆を狙ったテロ活動や反政府運動を展開している。2001年9月11日にはアフガニスタンのオサマ・ビンラディン率いるアルカイーダが全米でテロ攻撃を行い6000名の民間人が死亡した。この前代未聞のテロは世界に衝撃を与えると同時にイスラム世界との真剣な現実的対話の必要性を認識させた。 コーラン アラビア語で記されたイスラム教の聖典で預言者ムハンマド(マホメット)が610年から神の啓示を受けそれを114章にまとめた書物。イスラム教徒にとってコーランは神の言葉であり絶対の教典である。一日に5回の礼拝、ラマダン(断食)など厳しい戒律がある。 ジハード(聖戦) イスラム教徒のイスラム世界防衛のための戦争(聖戦)でイスラム教徒の義務とされている。聖戦を戦う戦士は神の戦士(ムジャヒディーン)と呼ばれ、聖戦での死は殉教者(シャヒード)として英雄視され、死後の安泰が保証されている。ソ連軍侵攻によるアフガニスタン紛争では多数のイスラム教徒がアフガニスタンに終結し聖戦の名の下にソ連軍と戦いアフガニスタンを勝利に導いた。 ■イスラム原理主義グループ
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