TANAKA WORKS
Kar 98k AIR
AIR COCKING BOLT ACTION RIFLE
今回はTANAKA WORKS製MAUSER(モーゼル) Kar 98kボルトアクションライフルのレビューをしてみたいと思います。TANAKA WORKS製の新コッキングシステム「AIRシリーズ」の一つで、ギアとピストンを組み合わせた独自機構により、従来のエアーコッキング式ボルトアクションよりも短いコッキングストロークと負担の軽いコッキングを実現し、マガジン位置も実銃本来の位置に配置可能にした画期的なものとなっています。
これまでTANAKAは20年以上に渡り実に多種多様なモーゼルKar98kを発売して来ましたが作動方式はガス式、ガス式+ライブカート、エアコッキング+ライブカート等モデルガン志向が強い物が多く、お座敷シューティングでは面白そうですが、アウトドアゲームでオールシーズン使うにはちょっと微妙なものが多かったです。他メーカーを見てもケースレスエアーコッキングのモーゼルKar98kというのはほぼありません。僕は基本的にBB弾が発射可能なボルトアクション系ライフルではガスボルト式やライブカート式は買わないのでこちらが発売された時はうれしかったですが、買い時を逃してしまい、2015年2月の再販時にようやく購入できました。主要素材は ジンクダイキャストでストックは実銃同様に木製で再現されています。また至る所に刻印を打ち込んでいますが現在主流のレーザー刻印ではなく後打ち方式でbyfマークなどを再現しています。この辺はモデルガンや実銃ストックを作っていたメーカーとしての素晴らしいこだわりだと思います。
ちなみにガスボルト式を買わない理由はオールシーズン使えないのとフロン程度では圧力が不安定だからで、ライブカート式を買わないのはゲームで使えないからです。
ケースはシンプルなダンボールです。価格的には高価なのでもう少し豪華にして欲しい気もしますが、それで更に価格が上昇するのも悲しいのでこれはこれで。
箱を開けるとビニール袋に入った本体が部分毎に固定された発泡スチロールで固定されています。ちょっと輸送とか危ない気もしますが、我が国の輸送手段は世界一ィィィィィなので多分これでもOKなのでしょう。内容物は本体、マガジン1個、マズルキャップ、専用ローダー、BB弾、TANAKA WORKSステッカー、マニュアルです。ステッカーが謎ですが・・・

主要データは以下になります。

MAUSER Kar98k TANAKA WORKS Mauser(実銃)
全長 1103mm 1100mm
銃身長 --- 600mm
重量 3504g 単材銃床3900g
積層材銃床4200g
材質 ジンクダイキャスト
単材ウッド
スチール
単材もしくは積層材ウッド(ラミネート材)
作動方式 TANAKA AIR ボルトアクション モーゼル式ボルトアクション
口径 6mm BB 7.92mm
装弾数 24 5
セレクター ファイア/セーフティ ファイア/セーフティ
平均初速 86-87m/s 760m/s
発売日 2013年2月4日 ---
購入日 2015年2月15日 ---
JAN code 4 537212 006057 ---
定価 66150円(税込) ---
購入価格 57834円 ---
コンディション 新品 ---
購入店 ガンショップファースト ---
該当モデルは第二次世界大戦の歩兵用ボルトアクションライフルの最高峰とも言えるナチスドイツが使用したモーゼル(マウザー)社のKarabiner 98 Kurz(カラビーナー・アハトウントノインツィヒ・クルツ)です。クルツの名の通り元となった銃はGewehr98でその短縮モデルとして大戦中のナチスドイツ軍を初め、中国などでは国民軍に使用されました。制式採用年は1935年6月で大戦中はモーゼル社以外の銃器会社でも多数が生産され、総生産数は1400万梃とも言われています。戦時中はフィンランドやフランスのレジスタンスなどにも使用され、ヨーロッパ全土に流通しました。また戦後も広く世界に分散し、東ヨーロッパの紛争地帯の他、第一次中東戦争ではイスラエルが主力小銃の一つとして使い、、ユーゴスラビア紛争やベトナム戦争でもそれぞれ使用され、アフリカや中東などの紛争地帯では現在も見ることができます。
外観はタナカらしい優れたディティールです。ただこの銃は細かい刻印が多く配置されているので全体的な写真よりも各部のアップなどの方がそのかっこよさが伝わってくると思います。規制前の野良フィールドにありがちなボルトアクション120m/s以下のルールがあったらパワーを挙げて無双できるレベルの性能だと思います。
実射性能
実射性能は軽めのコッキングとマルイ製0.2gバイオBB弾で初速86〜87m/sのかなりタイトな範囲で安定して収まっており、可変ホップの弾道も実に素直でほぼ同じ所に同じ弾道で飛んでいきます。箱だし状態でも十分に使用可能です。装弾数が24発あり、マガジン交換も素早くできるので予備マガジンを2〜3本持っていればゲームでは十分楽しめると思います。別売りのスコープを買えば40m程度までなら十分に人間の上半身程度は狙えると思います。ただパワー規制があり、ボルトアクションカテゴリーにパワーアドバンテージが無いフルオートAEGが主流の現在ではあくまで趣味のレベルの戦闘力しかありません。試してはいませんが、ホップレバーに十分な余裕があるので0.25g弾を使用すれば更に優れた集弾性を発揮すると思います。
惜しむらくは筆者は左利きなのでこのショートストロークのコッキングを活かした速射ができない点です。しかし飾っていても実に良い雰囲気なのでオイル漬けとかにして壁に掛けるか、油紙を巻いて木箱に入れて庭に埋めたり洞窟に隠したりしておきたい感じです。(うち庭も洞窟も無いですけど)
フロントサイトからスイベルブロックまでは金属と木製パーツが入り交じっていてかっこいいです。クリーニングロッドはダミーで見えている位置までしかありませんが前方の分解手順は実銃と同様になっています。
フロントサイトはカバー付きのデザインですがこのカバーがゲーム中にずれて外れかかっているのに気がつきました。カバーのテンションでサイト側面の溝にはめてあるだけなのでちょっとした衝撃や枝などに引っかかってしまうとずれてしまいます。しかも2次のゲームでは完全に外れて無くなりました。購入元のファーストさんに連絡したらパーツ取り寄せが可能という事だったので無くした時用に2個注文しておきましたが、ここは次回ゲームで使うなら接着してしまおうと思います。どうしても分解が必要な時はハンマーで軽く叩けば接着剤程度なら剥離してくれそうですし。
スイベルは上下木製パーツを結束される機能も兼ねています。左利き向けに反対側にも取り付けられそうですがどうせ後方が完全一方向なのでこのままで。スリングを体に付けたまま撃つ時代の銃でもないので。
リアサイト側面にはスコープマウント用のスライドレールがあります。その後方にはシリアルナンバーとナチスのマークが打刻されています。
リアサイトはこの時代の一般的な歩兵用ライフル、軍用ピストルなどで使用されているタンジェント式サイトです。AKシリーズと基本同じというかAKがこれらの銃のサイトを引き継いだだけですが、基本操作も同じです。タンジェントサイトを最大射程まで移動させるとその下に可変ホップの調整レバーが装備されています。貴重な木製ストックに下や上から穴を空けて六角レンチなどで調整するものではないので、目立たなくて構造的にもなかなか上手い配置だと思います。
バレル基部からボルト前方にかけては刻印が多数あります。後打ち式で打刻されたbyfマークなどかなりリアルに作られている気がします。数字の43は製造年を表しています。
銃本体に多数打刻されている刻印はアムト刻印(バッフェンアムト)と呼ばれるドイツ陸軍承認のスタンプで、現在のファイアプルーフマークに相当するもので、マーク下部の数字は製造メーカーを表しています。 製造メーカーの数字は年代によって違う事もあるらしいのでその辺は詳しいサイトで調べてみてください。
ボルト周辺。ボルトハンドル前方には実銃でクリップで固定された弾薬を装填する為のガイドが再現されています。
昔購入したPDI系列のM24とボルト後退位置を比較してみました。ボルトハンドルとシリンダーの境界を基準に比較しています。左側の線がM24のボルト後退位置でボルトロック位置(右の線)からの移動は約85mm。中央の線がKar98kのボルト後退位置で、ボルトロック位置(右の線)から約65mmほどです。その差20mmですがこれがかなり引きやすさに影響します。
ボルトハンドル後方にはセーフティレバーが装備されています。写真左が射撃可能状態で、写真右がセーフティをオンにした状態です。セーフティはボルトをコッキング(装填状態)にしない限りセーフティポジションにならないので最近よく聞くセーフティではマガジンを抜いてセーフティをかけるというのは不合理でできません。大抵の運営者の脳内にはマルイの電動M4とAK程度しか考えの範疇にないのでこうしたフィールドではマイナーな銃は安全管理の枠がありません。大抵のガスブロM4などもハンマーが後退した装填状態でなければ実銃同様にセーフティの位置には持って行けないのでその辺も踏まえた安全対策をお願いしたいです。(レビューとあんまり関係ないですが)
マガジンは下方からの脱着式になっていて専用のローダーで装填しますが、普通のBBローダーからでも流し込めましたので特にローダーが必要な気はしませんでした。トリガーガード前方内側にマガジンキャッチがあります。この辺の構造のリアルさはライブカートモデルには勝てませんがゲームで使うには実に合理的です。マガジン本体は基本プラスチック製で軽量ですが底部分は金属で出来ていて装着した後のリアル感を演出しています。
マガジンを外すとシリンダー内部のスプリングなどが見えます。
ストック右側面に国家鷲章が刻印が施されています。目立たないので遠くから見ると傷みたいに見えますがオイルステイン等でエイジングしてあげれば目立つようになるかなと思います。ストック中央部分にはスリング固定用のスリットと金属製のホールパーツが埋め込まれています。これはクリーニング時にボルトから撃針を損傷させる事なく分解させる為の補助工具で、トイガンにはあまり関係ないですが、大事な部分でもあります。バットプレート(写真下)は金属製でこちらにも国家鷲章が打刻されています。
以上でレビューはおしまいです。エアソフトガンとしては異例の刻印の多さですがこれでも実銃などと比べると全然少なく全体の半分も再現されていません。それでもトイガンとしてなら十分に価値のある製品だと思います。