MAGPUL PTS :PROFESSIONAL TRAINING AND SIMULATION
MASADA ACR 5.56x45mm
CQB VERSION
FDE
MAGPUL PTS製MASADA 5.56 CQB VERSIONです。マグプル社の製品をエアソフトや訓練向けに安価な素材で提供するPTSブランドで製作されたMASADAになります。MASADAは近年流行のモジュール交換方式によるマルチキャリバーアサルトライフルで口径やバレル長、各種マウントなどのオプションを自由に選択可能で、目的に合わせた銃に組み替えることができる設計になっています。実銃のMASADAはマガジンの底部にポーチからの引き抜きや携行を容易にする為のその名もマグプルというラバー製フックを製造していましたが、その後、得意のラバーやファイバー製のガンアクセサリーの製作を開始し、多くのユーザーに支持されました。バレルや機関部以外の多くのパーツを自社で製作してきた事から2007年に銃本体の製造に着手し、MASADAが完成しました。MASADAはイスラエル東部、死海西岸近くの岩山を利用し作られた半天然要塞で、古代ユダヤとローマ軍との戦いで使用された山岳要塞の名前です。MASADAは発表後長らく製造されませんでしたが、アメリカのブッシュマスター社が民間向けにBushmaster ACR(Adaptive Combat Rifle)として販売を行い、同国のレミントン社がRemington ACRとして販売を開始しました。
基本構造は歴代のアサルトライフルからその利点のみを抽出し、操作性や耐久性などを向上させたもので、特別な工具などを使用せずに戦地の前線基地等でも簡単に口径やバレル長が交換できるシステムを加えています。当初は5.56x45mmで10.5インチ、11.5インチ、14.5インチ、18インチ、20インチとM16/M4シリーズに準拠したバレルを展開していました。また弾薬も7.62x39mm弾や6.8x43SPC弾などがバレルやロアレシーバー、ボルトなどの交換で選択可能になっています。
さて、エアソフトガンのMASADAですが、基本的にPTSが販売するオフィシャルAEGで、主に訓練向けの名目で製作されました。日本では販売価格が55000円前後と比較的高価でしたが、樹脂パーツにデュポン社製ポリマー樹脂、アッパーレシーバーに6063アルミニウム合金を使っているなど高品質を売りにしていました。メカボックスの設計などもオリジナル要素を多数加えたりして工夫しています。また独自のバレル交換機能や様々なモジュラーアクセサリー、ハンドガードなども発売されました。しかしながら数年前に絶版となってしまい、今ではかなりプレミア価格になってしまっています。モデルは5.56mmのCQBバージョンの他に5.56mmの14.5インチバレルバージョンが発売され、18インチバレルとロングハンドガード、レールハンドガード、スナイパー用ストックもオプションとして発売されました。またAKとマガジン互換性のあるMASADA AKMも発売され、その交換キットやこの躯体を使ったガスブロ-バックコンバージョンキットなども発売されました。カラーはダークアースとブラック、フォレッジグリーンの3色が発売されていました。マガジンもそれに準じたカラーバリエーションで通常のマルイ旧M4シリーズやAKシリーズのマガジンがそれぞれ使用可能でした。今回購入したのは中古品のMASADA CQBバージョンになります。箱はダンボールでメインカラーは赤色を使っています。かなりコストをかけたAEGだった為、後に素材等を一般的な樹脂にしてパーツをいくつかオミットした廉価版のSV(ストリームラインバージョン)も発売されましたが残念ながら現在はどちらも絶版となっています。
開封。ダンボールの外装に内部はウレタンフォームで保護されています。付属品は本体、マニュアル、マガジンリアサイトです。14.5インチと箱が共用の為、バレル部分は少し長くスペースをあけてあります。箱の裏面にはMASADAの解説が記載されており、第三世代バージョンのエアソフトガン化という事が記載されています。写真右は付属のP-MAGマガジンです。保護キャップ付きで窓の無いタイプになります。SVになるとこのマガジンが窓ありになります。
本体を取り出した感じです。アッパーが6063アルミ合金。ロアーがデュポン社製ポリマー樹脂で出来ています。ストックはフルアジャスタブルタイプになります。メカボックスはマルイVer3をベースにオリジナルパーツを加えてトリガー部分をマイクロスイッチにアレンジしたものが使用されています。購入時既に箱絵にある状態でしたが、初期に販売されたモデルは14.5インチバレルに固定式のAフレームストックでしたから、前オーナーさんが交換されたのか以降のロットでパーツが変更されたのか不明です。
リアサイトは脱着式のPTS製MBUSでこちらもPTS製のものが付属します。チャージングハンドルは組み替えで左右へ移動配置が可能です。その他の部位ではマガジンキャッチ、ボルトリリース、セレクター、ストックアジャスタブル、チークピース、スイベルベースがアンビ仕様になっており左右どちらでも同じ操作が可能になっています。
フロントサイトとリアサイトを立ち上げた状態。フロントサイトは内蔵式のフリップアップタイプになっています。SVモデルではこれが付属せず、その分レールが延長されて、少し空間があいています。
ハイダーはM16A2タイプのバードゲイジハイダーが装備されています。ハイダー上部にはガスレギュレーターがありますが、距離が近い為、サイレンサーなどを装着する場合は機種を選ぶと思います。
ハンドガードは実物よりもやや大きめに作ってあります。これはバッテリーの収納を考慮した設計の為ですが、近年使用が一般化しているリチウムポリマー系のバッテリーでは十分すぎるスペースの為、リアルサイズのハンドガードがPTSから発売されています。リアルサイズハンドガードは本体色と同じ3色が存在し5.56モデルと7.62モデルで互換性があります。安価で強度も高く横幅が特にスリムになるので握りやすくなりますので是非入手したいパーツです。また18インチバレルに対応したロングハンドガードも存在します。
樹脂製のハンドガードはMASADAの特徴的なもので、M4カービン用などで使われている独自のモジュラーシステムを装備しています。
基本的にはハンドガードにあるベンチレーテッドスリットにレールやグリップなどを装着して必要なオプションを固定できる設計になっています。取り付け角度は左右(3時と9時方向)と下側(6時方向)に装着可能です。
アッパーレシーバーは37スロットの連結型MIL-STD1913ピカティニィレールが装備されています。アルミはCNC製法の6063アルミ合金を使っています。18インチバレルなどを使う場合比較的大口径のスコープを使用してもナイトビジョンやレーザーデバイスなどのスペースを割かない余裕のある容量です。
レシーバー右側面。シリアルナンバーは個別に設定されています。刻印はアッパー、ロアー共に彫り込みになっています。彫り込みは6063アルミを使っているせいか、SVよりも深く彫り込まれています。安価な柔らかいアルミですとこの辺の加工は浅くなるものも多いので多少違いがあるかもしれません。またマガジンハウジング前方には滑り止め加工がされており、ハウジングを利用した射撃体勢にも対応しています。ダミーボルトは内部が可変ホップダイヤルを収納しており、チャージングハンドルを引くことでダミーボルトが後方で固定されます。リリースにはトリガー前方、マガジンハウジング後方にあるボルトストップボタンを下げる事でリリースされます。
ダミーボルト周辺にはマルチキャリバーである事を示すCAL-MULTIの刻印とPTSのブランドロゴ、トレーニングとシミュレーション用であるという記載があります。またハンドガード結合部にはQDスイベルベースがあります。アッパー部分の塗装はアルマイト処理になっています。
レシーバーは後方に二箇所、前方に二箇所のロックピンで固定されておりこれらを弾薬の弾頭部分やツールで押し込む事でストック、ハンドガード、ロアレシーバー、ハンドガードの脱着、分解が可能になっています。
レシーバー左側面。基本的なファンクションは左右同じです。トリガーガードは固定式で角度のついた形状をしており、グローブ等を装備した状態でも十分なスペースが確保されています。
グリップは底部まで樹脂でできたデザインでデュポンポリマーをつかった滑り止めはしっかりとしたグリップが可能になっています。
ストックはサイドスイング折りたたみ方式のマルチアジャスタブルフォールディングストックと呼ばれる独自デザインのストックを採用しています。SCARなど最新のアサルトライフル同様にスコープ使用を前提としたチークピースの高さ調整、ストックの伸縮が可能になっています。またサイドスイングも可能でストックを折りたたむ事で防水コンパートメントが露出します。
ストック基部には別途オプションパーツのスイベルが装着可能になっています。基部のボタンはサイドスイング用、中央のボタンはストック伸縮用。チークピースはシンプルなテンションロック方式で、一度前方に引き出してピースを上方に持ち上げ、その後再度後方に戻す事でロックが可能です。ストック後方にはQDスイベル用の装着ベースがあり、こちらはスクリューを分解する事で左右の配置を変更可能です。バットパッド下部にもスリング用のホールが装備されています。
ストックは6段階の伸縮が可能です。写真はストックを最大長にしてチークピースを持ち上げた状態。
ストックを折り畳んだ状態。
バレル交換
MASADAの最大の特徴であるバレルの交換を行ってみます。10.5インチバレルから14.5インチに変更します。手順はマニュアルに記載されていますが、まずはホップチャンバーを一番弱い所までダイヤルで戻します。その後ハンドガードを固定しているロックピンをレシーバー左側面から押し込んでロックピンを解除し、そのまま前方に引き抜きます。メカボックスは黒く塗装されています。SVモデルはシルバーのままでこの部分にも違いがあります。
ハンドガードを取り除くとバレルアッセンブリーが露出します。アウターバレル基部にあるワイヤー状のロックレバーをリリースします。
まずレバーを起こし、アウターバレル基部の底にあるボタンを押してロックを解除します。
ロックボタンを押したままレバーを45度ほど回転させればアウターバレルの固定が解除されます。
アウターバレルを引き抜いた状態。バレルの装着は逆の手順で行います。かなりかっこいいシステムですが、このシステムのせいでホップチャンバー周辺が複雑かつ不安定な構造になっているそうで、純正のままですとHOPが安定せず、命中精度も低めになってしまうそうです。筆者は中古で購入したのですが完全な対策を施すにはバレル交換システムをやめてカスタムしないと改善は難しいそうなので14.5インチでカスタムをしてもらい、別途入手したSVモデルを10.5インチでカスタムする事にしました。
ですので残念ながらノーマル状態の射撃レビューはありません。申し訳ありません。
14.5インチバレルを装備した状態。ハンドガードが大きく長い事からM4カービンよりも小さく、短く感じます。MASADAに関しては個人的にはこの長さの方が好きです。
14.5インチバレル
スコープ搭載(Trijicon ACOG TA01NSN)
MAGPUL PTS/GEMTECHオフィシャルライセンスのHALOサイレンサーFDE装備。
10.5インチバレル
10.5インチバレル。EO-TECH EXPS、G23FTSマグニファイヤー装備。