|
LAND WARFARE GEAR/TACTICAL GEAR/VEST |
|
特殊部隊は潜入方法による装備の違いこそあれ、基本的にはそのほとんどの時間を陸上で活動する高度に訓練された歩兵部隊である。そのため一般歩兵と同じように武器(自動火器)と個人装備を携行する。少人数で行動することが多い特殊部隊では個人あたりの携行弾数、特殊装備、無線機など、一般歩兵部隊よりも多くの装備を携行しなければならない。従って一般歩兵部隊とは違う個人装備を使用するのが一般的である。アメリカ軍はベトナム戦争において特殊部隊の野戦戦術を確立したが、個人装備については、一般歩兵用装備を自由に組み替え隊員個人が弾薬ポーチを増加させるなどの「工夫」の範囲に留まっていた。海軍などではより積極的に個人装備の改良、開発を行ったが、局地の不正規戦に満足に対応できる装備は多くはなかった。冷戦中、ミサイルギャップ時代に入ると戦術核ミサイルの存在から、歩兵や特殊部隊の必要性が薄れていき、特殊部隊は更に冬の時代を迎える。部隊は縮小、解体され、残った部隊も予算を大幅に削減され個人装備の支給は一般部隊のものと同じレベルにまで下がった。しかし80年代に入り共産勢力の衰えが見えると冷戦の時代は終わりを迎え、これに代わり中東やアフリカ、南米などで宗教、麻薬、国内紛争などの低烈度紛争が勃発し、アメリカ軍はテロリズムに対する新しい対抗手段を必要とすることになる。そして大規模戦闘における偵察、後方攪乱などが任務であった特殊部隊に、より精密な任務を与えることになる。特殊部隊隊員の個人装備は他の多くの銃器、兵器などと共に改良が施され、多くの民間メーカーが参入し日夜装備の改良を続けている。中でも80年代以降に個人装備として目立つのが特殊戦術装備・タクティカルベストで、必要な戦闘装備等を一着のベストに収納可能な設計になっている。もちろん用途に合わせて使用する武器や弾薬、携行量なども多種多様な為、それぞれの任務に応じたベストの使用が重要になっている。ベストには主に戦闘に必要な予備弾倉や手榴弾を収納可能で他にもメディカルキットやキャンティーン(水筒)などを収納可能なものも存在する。他にもメディック(衛生兵)が医療用具を携行するための専用メディカルベストや上陸作戦用の浮揚セルフォーム装備のベストなども開発されている。ベストの種類は多種に渡っており隊員の役割や任務の性質によってそれぞれ好みの物を使用している。またベストは他の装備との組み合わせにより従来の組み替え式個人装備との連携も可能で、その組み合わせは無限である。勿論一着のベストですべての作戦装備が携行できるわけでは無いが、主に戦闘装備の収納を担当するタクティカルベストは兵士である特殊部隊隊員達が最も気を使い選択する装具の一つである。 |
|