OPSCORE
FAST CARBON
OPS-CORE社は2006年から軍、特殊部隊向けヘルメットアクセサリー及びヘルメットを製造しているメーカーである。同社ではこれまで防具としてのみ利用されてきたヘルメットに独自開発したプラスチック製のアクセサリーレールを装着する事によってヘルメットにライト、映像機器などを装着可能にした。またヘルメットのサスペンションシステムを新設計し、既存のヘルメットのヘッドストラップ、チンストラップと交換する事で、より優れた装着感と姿勢の安定などの付加価値を与える事に成功した。さらに独自のアイデアを盛り込んだオリジナルデザインのヘルメットを製造、供給し、これらの多くはアメリカを中心とした西側の軍、特殊部隊などに採用されている。
中でもFASTシリーズは同社の技術の集大成としてデザイン、供給されている。FAST(Future  Assault Shell Technology)は現代戦に於いて歩兵に要求される装備や作戦能力に追従可能なアクセサリーレールとナイトビジョンシュラウドを装備しており、ヘッドサスペンションシステムは同社で開発されたHEAD-LOC(ヘッドロック)システムを採用している。作戦の目的別に防御性能を変えた3種のモデルBallistic(バリスティック)、Carbon(カーボン)、Base Jump(ベースジャンプ)が用意されている。バリスティックモデルはNIJ規格によるレベルIIIAの防護性能を持った戦闘用ヘルメットで、同デザインで外殻をカーボンにした軽量のカーボンモデルは主に偵察作戦など頭部の保護は必要であるものの、軽装が重視される場合に使用される。ベースジャンプモデルは主にパラシュートジャンプの訓練用に使用される軽量モデルで、素材にはポリカーボネイトを採用している。

FAST CARBON
FASTCARBONはその名の通り外殻素材に軽量なカーボンファイバーシェルを採用している。主に偵察(RECCE)、ファストロープ降下、山岳オペレーション、トレーニング向けにデザインされたヘルメットである。ヘルメット上部には熱を逃がしシェル内部を快適に維持する為にベンチレーテッドホールが8箇所設けられている。前面部分には金属製のVASシュラウドと呼ばれるナイト/サーマルビジョンマウントが装備されている。このシュラウドはユニバーサル規格で製造されたヘッドライトなども装着可能になっている。左右側面にはアクセサリーレールが装備され、専用のマウントなどを利用し、カメラ、ライト、ゴーグルなどをマウント可能になっている。またレール先端にはナイトビジョンなどを保持する為のバンジーコードとフックが装備されている。頭頂部、後頭部はベルクロが配置されており、IRフラッグやストロボライトなどを装備可能になっている。これらは過去に兵士個人が独自の改造などを行い対策や装備していたものが殆どで同社ではこのアイディアを余すことなく製品化したと言える。ヘッドサスペンションはダイヤル式のサイズフィッティングシステムを備えたHEAD-LOCシステムを採用しており、使用者個々に合わせた装着を可能にしている。
FAST CARBONのカラーはURBAN TAN、FOLIAGE GREEN、BLACK、MultiCam、Desert MARPATが用意されている。サイズはS/M、M/L、L/XLの3サイズが用意され、重量はそれぞれS/M 638g、M/L 682g、L/XL 744gとなっている。
市販価格は本体のみで$593.00、VASシュラウド装着モデルで$641.00となっている。
FAST CARBONヘルメット正面。VASシュラウドは3つのボルトで固定されている。シュラウド下部にはバンジーコードが装備されている。
ヘルメット側面に装備されたアクセサリーレールは後部は縦方向に、前部は横方向にマウントが可能なデザインとなっている。
背面はカウンターウエイト、バッテリーボックスなどを装着する為にベルクロが装備されている。
FAST CARBONのパーツ構成。パッドは2サイズ用意され、アウターシェル、VASシュラウド、ヘッドサスペンション、アクセサリーレイル、マウントレール、マニュアル等で構成される。
アウターシェルはカーボン製でベンチレーテッドホールが8個配置されている。
シェルの内側はパッドを装着する為のベルクロが配置され、モデル名とサイズが記載されたラベルが貼られている。
VASシュラウドはユニバーサル規格のアームマアウントを介する事でナイトビジョン、サーマルビジョン、ヘッドライトなどを装備可能になっている。
シュラウドの装着は2000年代中期から多用されている3ホールタイプのデザインが採用されている。
ベルクロは頭頂部から側面、背面に配置されており、ストロボライトやIRマーカー、フラッグパッチ、カウンターウエイト、バッテリーボックスなどを装着可能になっている。
チンストラップ及びヘッドサスペンションシステムはOPS-CORE社独自の技術が多用されている。チンストラップはプラスチックバックルとナイロンストラップで構成され、リサイズは最大サイズにしておけば片手でも調整できるデザインになっている。頭部全周を支えるヘッドサスペンションには同社独自のHEAD-LOCシステムが採用されており、後部のダイヤルを回す事で頭部のサスペンションが締まり、頭部に固定される優れたデザインで、FASTヘルメット以外にもACH用などがリリースされている。
ヘッドサスペンション後部のHEAD-LOCダイヤルは頭部周辺のヘッドサスペンションバンドを調整する事が可能で時計回りに回す事でサイズを小さくし、反時計回りに回転させる事でサイズを緩める事ができる。
ヘッドロックの内部構造。ダイヤル内部にはギアが装備され、ヘッドバンドの終端がギアに重なる様にセットされている。ダイヤルを回転させるとヘッドバンドがギアに巻き込まれて前進し、ヘッドバンドのサイズが小さくなっていく。
前面には発泡スチロール製のパッドが装備され、この外側にアウターシェルが装着される。
パッドは0.5インチ(1/2)の厚みのものと0.75インチ(3/4)の厚みのものが用意され、使用者に合わせて交換可能になっている。
パッドの配置。
側面パッドは脱着式でヘッドセットなどのコミュニケーション装備を装備する場合は取り外して使用する。
パッドをすべて装着したヘルメット内側。
アクセサリーレールは無線ヘッドセット、ライト、ゴーグルストラップなどを装備可能で現代戦では必須の装備となっている。
バンジーコードはナイトビジョンの脱落防止などに使用される。
専用のヘルメットケースとマニュアル。専用ケースはパッドメッシュ構造でマニュアルを封入しておくポケットが装備されている。
アクセサリーレールにマウントされたレール。MIL-STD1913規格とOPS-COREウイングロックシステム(右)。レールのロック箇所はそれぞれレール中央とレール上下の溝で異なる。
ヘルメットへのアクセサリー装着例。ナイトビジョンマウント、Vライト、ストロボライト、LEDライト、カウンターウエイトなどが装備されている。