TL-122-B
ANGLE HEAD FLASH LIGHT
6Z4002-B
 20世紀に入り、第一次世界大戦が勃発すると大量の軍用ライトが使用された。これら軍用ライトはバッテリーと電球を使用したもので、手持ち式のランプを模した箱形のものが一般的であった。またロウソクや燃料を使用したランタンも多数併用されていた。第一次世界大戦が終わるとアメリカ軍はこれら照明装備を刷新すべく、研究と開発を行った。
アメリカ軍では兵士がライトを携行する際に手を使わなくても付近を照射できる様なL型にアングルのついたデザインのフラッシュライトを開発し、1939年にTL-122-Aとして制式採用した。
TL-122-Aは後に続くTL-122-B、C、Dモデルの他、MX911/Uの原型であり、軍用フラッシュライトの基本形として知られている。最初に作られたL型フラッシュライトであるTL-122-Aは真鍮製の円筒型ボディをしており、ライト部分はチューブ本体に対して90度に曲がって配置されていた。これは兵士が装備品などにライトを装着しておけば両手を使うことなく前方を照射できる点で優れていた。また車両に専用のマウントが用意されており、車両用の照明としても使用する事ができた。スイッチは金属製のスライド式を採用しており、OFF状態からプッシュスイッチを押した時のみ点灯するモード、常時点灯のオンと変更が可能で、このスイッチシステムは半世紀以上に渡って採用されている。プッシュスイッチはスライドスイッチをプッシュオンポジションにする事で使用可能で、スライドスイッチ上部に設けられたプッシュスイッチを押している間だけ点灯する。この為、モールス信号などにも利用する事ができた。
第二次世界大戦が始まるとTL-122に改良が加えられ、1943年9月にはTL-122-Bが採用された。TL-122-Bはボディをこれまでの金属からプラスチック製に変更し、TL-122-Aで底部に設けられていたスイベルリングが廃止された。また底部バッテリーキャップの内側に予備のバルブを収納するホルダーが装備されている。ボディ背面には金属製のフックが設けられ、サスペンダーやベルトに吊り下げる事ができた。
TL-122-Bはその後1944年4月に防水能力を強化したTL-122-Cに変更され、1944年後半には赤や白のフィルターを収納したコンテナを装備したTL-122-Dが生産された。
TL-122-B本体。円筒型のボディにDセル(単一形)を2本収納する。プラスチック製のボディにはリブが設けられ強度を確保すると共に滑り止めの効果がある。
スイッチはリベットで固定された金属製でスライドスイッチとボタンスイッチが併用されている。
バッテリーキャップ底面にはメーカーロゴが記載されている。GITS社製。バッテリーカバー内部にはスペアのバルブを収納したホルダーが配置されている。
バッテリーキャップを分解した状態。バルブホルダーは金属製。
TL-122-Bの分解状態。