U.S. ELECTRIC MFG.
TL-122-D
ANGLE HEAD FLASH LIGHT
 第二次世界大戦に突入するとアメリカ軍や欧州の強国ではバッテリーで動作するフラッシュライトを兵士個人に支給する事が一般的になっていく。アメリカでは第二次世界大戦直前の1939年にこれまで一般的であった箱形のフラッシュライトからより機能的なデザインのTL-122-Aアングルヘッドフラッシュライトを採用した。TL-122-Aは円筒型のボディに電池を収納し、電灯部分はL型に折れ曲がった形状となり、装具に引っかける為の金属フックがついていた。これは装備品や車両のマウントにライトを固定した際に、前方を照らす事ができるデザインとして考案されたもので、両手で小銃を持ったり、作業をする兵士にとってはハンズフリーを実現する優れたデザインであった。TL-122-Aは真鍮製の円筒ボディをオリーブドラブで塗装した外装を持ち、スイッチはプッシュスイッチを押す事で点灯するモードと常時点灯モードの2種類が用意された。プッシュスイッチはモールス信号などに利用された。現在でも使用されるMX911/Uアングルヘッドフラッシュライトの原型であるTL-122-Aはその後改良を受け、1943年9月には本体をプラスチックに変更し、予備バルブを装備したTL-122-Bが製造された。1944年4月には防水機能を向上させたTL-122-Cが登場し、1944年後半にはTL-122の最終モデルとなるTL-122-Dが生産される。
TL-122-Dは従来のTL-122シリーズを段階的に改良したもので、従来通りのプラスチック製のボディに加え、各部をOリングで防水強化し、Bモデル同様に予備バルブを備えていた。またバッテリーホルダー底部にカラーフィルターを収納するコンテナスペースを設け、ライト部分はフィルターを装着する為に二重構造のリングを装備している。
TL-122-Dはは第二次世界大戦から朝鮮戦争、ベトナム戦争で使用され、ベトナム戦争中に新たに採用されたMX911/Uに交代していった。アメリカ軍が使用を開始したアングルヘッドタイプのフラッシュライトは第二次世界大戦以降、各国で類似品が生産され使用されているフラッシュライトのベストセラーモデルである。
TL-122-D本体。円筒型のボディにDセル(単一形)を2本収納する。プラスチック製のボディにはリブが設けられ強度を確保すると共に滑り止めの効果がある。
ボディ背面には金属製のクリップが装備されている。装備品やベルトに簡単に装着可能で、必要な時にはすぐに取り出せる構造になっている。クリップ中央にはホールが設けられている為、脱落防止措置を施す事ができる。
通常点灯状態。ライト部分にはリングが追加され、フィルターが装着可能になっている。
ボディ側面(左側)にはモデル名であるTL-122-Dの刻印があり、右側にはUSA LITEのブランドロゴが記載されている。
TL-122-D採用以前に普及していたTL-122-Bとの比較。バッテリーカバー内部にカラーフィルターを収納したコンテナスペースがある為、カバー全体が大型化している。またライト部分もフィルターを固定するリングが増設されている為、大型化している。
TL-122-Dの最大の特徴であるレンズフィルター装着機能。ライトリング部分が二重になっており、1段目を緩め、そこにフィルターを挟み込む事で、赤、白のフィルターが使用可能になっている。
M-384ブラックアウトフィルター。遮光フィルターで2枚付属する。
フィルター装着用のリング。
フィルター収納用コンテナ。M384ブラックアウトフィルターの他に夜間用のレッドフィルターとブルーフィルターが用意されている。
フィルターコンテナ底部にはスペアフィルターコンテナである事とメーカー情報が記載されている。
バッテリーカバーはフィルターコンテナと本体の間に配置されている。カバーとコンテナは必要に応じてどちらか一方だけを開放できるデザインでバッテリーカバー底部には金属ホルダーに固定されたスペアバルブが配置されている。スペアバルブはリテンションスプリングを取り除く事で取り出しが可能となる。
TL-122-D分解状態。