Panasonic
TOUGH BOOK
CF-25/CF-18
CF-18 NSN 7010-01-549-5098
CF-25 NSN 7021-01-399-8680
TOUGHBOOK CF-25は1996年に登場した衝撃対応のラップトップコンピューターである。1995年にマイクロソフト社のオペレーティングシステムWindows95の登場により、コンピューターが爆発的に普及されると、携行性に優れたポータブルコンピューターの開発も進んでいった。多くの国ではポータブルコンピューターは移動時に携行し、屋内で使用するスタイルで使われたが、アメリカではラップトップサイズのコンピューターを積極的に野外作業現場などに投入し、業務の効率化を図った。しかし、フィールドワーク(屋外での作業)では降雨や、砂塵、落下などからコンピュータを保護する必要があり、既存のポータブルPCではこの問題の解決には至らなかった。Panasonic社ではこれら問題を解決するために、劣悪な環境下でも問題無く動作し、万が一の落下や衝撃からデータとコンピューターを守るラップトップ型コンピューターCF25を開発した。CF25は高さ80cmからの落下試験などをクリアし、アメリカ軍の軍用品調達規格であるMIL-SPEC(Military Specifications and Standards)の基準を満たす製品MIL-STD-810F準拠として設計されており、アメリカ軍を始め、全米の警察(主にパトロールカーへの装備)、準軍事組織や民間軍事企業(PMC)などに大量に購入され使用された。

CF-25
NSN 7021-01-399-8680
同シリーズはその後も改良モデルを開発し、タブレットとしても使用可能なCF-18、屋外での表示能力を向上させたCF-29/CF-30、反射低減処理を施し、タッチパネル操作が可能で、90cm落下対応のCF-27、防塵・防滴モデルのCF-27、全方位防雨モデルCF-28、対塩害・コンクリート落下対応モデルのCF-29などが生産された。
2010年からはA4サイズのCF-31、タブレットに可変するCF-18の後継モデルCF-19などが生産された。最新モデルのCF-31は2010年11月から生産が開始され、MIL-STD-810Gに準拠した性能を持つ。MIL-STD-810Gでは、標高15,000フィートでの動作と保管、高温および低温での動作(60℃〜-29℃)と保管(71℃〜-51℃)、熱衝撃(93℃〜-51℃)、冷凍と解凍、急激な加重(40G)や砂埃の吹き付け、振動、降雨、高湿度(95%)環境での動作または保管、120pの高さからの26方向の非動作時落下テストなどが行われ、CF-31はそのすべてのテストにパスしている。
軍事用コンピューターは1990年代から爆発的に普及が進み、部隊の情報管理、分析、戦術に大きな影響を与えている。この為、従来後方支援基地や兵器に搭載していたコンピューターに準じる機能を持ったコンピューターを前線でも同様に使用する必要性がでてきた。前線ではコンピューターは過酷な状態に置かれるため、MIL-SPECに準じた性能が要求される。さらに携行性やバッテリー寿命なども重視される。この為、現在では無線装備や兵員個人の情報をリンクするシステムなどの開発も進んでいる。
写真は日本国内で販売されたTOUGHBOOK CF-25。国内では当初PRONOTE FGという名称で販売され、2001年に海外ブランド「TOUGHBOOK」と統一名称になった。近年では後継モデルが日本国内で自衛隊、警察、消防に納入されている。

CF-18
NSN 7010-01-549-5098
TOUGHBOOKはマグネシウム合金の筐体と複数のダンパーで内部パーツを衝撃から守る他、ハードディスクはシリコンゲルでコーティングしたマグネシウムキャビネットで包まれている。各種コネクター、スロットはパッキンを装備した金属ドアまたはラバーシールで保護され、全方位からの水滴や埃の侵入を防ぎ、衝撃からのコネクタの破損を防止している。筐体の接合部はシリコンラバーでシーリングされ、水や埃の侵入を防ぐ。防滴液晶ディスプレイと防滴キーボードにも同様の加工がされており、突然の降雨や砂塵からも各部を保護してる。広い温度変化にも対応しており、あらかじめHDDを自動予熱する機構を備え、マイナス20度の低温環境下でも起動・動作する。写真はタブレットとしても使用可能なCF-18。
TOUGHBOOKは主な納入先が軍、警察、消防、公官庁である為、そのモデルは最低のモデルでも3000ドル近い価格で販売されている。環境対応機能を優先させている為、同時期、同価格帯のビジネス、個人向けラップトップコンピューターと比較するとコンピュータースペックでは数段見劣りするものの、その信頼性から前述の組織の間では採用が続いている。また登場以来、Panasonic社の独占状態であったが、2004年以降は同種のコンピューターとしてNECがFC-N11Fで参入。更に2007年にはDELLコンピューター社が「Latitude XFR」・「Latitude ATG」を発売したほか、2009年にはモトローラ社がML910 Rugged Notebookを発売。ヒューレットパッカード社も「EliteBook」にラグド(Rugged)モデルを設定するなど、近年他メーカーも同分野に相次いで参入している。