PROTECTIVE GEAR/ARMOR
 歩兵にとって戦闘中の驚異は迫撃砲や野砲による砲撃などの広範囲破砕兵器である。第一次世界大戦以降砲技術が向上し戦車などの移動砲台も威力を発揮し歩兵にとって陸上戦等は益々危険になっていった。また第一次世界大戦中に使用された化学兵器の神経ガスなどから身を守るため、ドイツ軍などでは歩兵部隊に防毒マスクの支給をはじめた。兵士の防具、防御手段の充実は部隊の士気に大きく関わるため歩兵装備の中でも極めて重要である。大戦中の戦闘での死傷率を考えると、最も大きい被害が砲撃などの破砕兵器による死傷でありこれを防ぐことが重要であった。当時の歩兵は規模が大きくそれに比例して戦闘被害も大きかったが基本的な防御手段はスチールヘルメットのみであった。このため死者の数は甚大になり防弾ベストの開発が試みられる。防弾ベストの支給の遅れは、当時の歩兵の移動能力が徒歩、あるいは自動車化のみであったため、重い防弾ベストは行軍の邪魔になるだけであった。朝鮮戦争にはいると上陸作戦を主とする海兵隊では防弾ベストの支給が進み死傷率の低下と士気の向上に寄与した。ベトナム戦争が始まり海兵隊では防弾ベストの完全支給を成し遂げたが、陸軍では一部の部隊にしか支給されなかった。これはベトナムという熱帯地域独特の気候風土が一因であった。分厚く重いベストを蒸し暑い戦場で着る事に耐えられなかったのである。またこの時期の歩兵用ベストは手榴弾や迫撃砲の破砕兵器から身を守るためのもので、30口径前後の高速ライフル弾を止める術は持っていなかった。共産ゲリラとの銃撃戦が主体の戦闘では敵の迫撃砲弾に襲われることは少なく、防弾ベストを着ていても無意味だったと言う点も挙げられる。ヘリコプターパイロットなどには抗弾性能のあるものも開発されていたが歩兵用としては重すぎた。当時技術革新として開発され、防弾素材として使われたデュポン社製のケプラー繊維は軽く繊維状である事から優れた性能を発揮した。しかし海兵隊など上陸作戦を行う部隊では水に濡れると性能を発揮できないケプラー繊維は使用できず、プレート状にしたケプラー繊維を採用した。また一般市場ではスチールプレートを入れたベストも販売されている。80年代に入るとアメリカ軍やNATO各国ではケプラー素材による軽量ヘルメットや防弾ベストの採用をはじめた。米軍では全軍統合の防御装備PASGTを採用し陸軍、海兵隊を含めた全部隊に支給した。さらにセラミック素材の開発により警察や特殊部隊などではライフル弾を防ぐことのできるベストが数多く開発、採用されていく。この防弾ベスト完全支給の背景はベトナム戦争以降歩兵の移動手段が機甲化、ヘリボーン化され、移動に対する装備重量の負担が減った事が最大に要因とされる。90年代に入り冷戦が終わるともはや大規模な歩兵戦闘は行われないとして歩兵部隊の縮小が進んだ。その反面装備の高性能化が進みNBC対策、防弾装備の性能向上などが積極的に行われている。さらに近年では新防弾素材のスペクトラ繊維などが発明され新世代のベストとして注目されている。スペクトラは水に浮き、速乾性に優れているため海兵隊の任務にも支障を来すことが無くケプラーよりも25%軽量である。またケプラー素材とは違い複数の弾丸を浴びても性能を維持する。(通常ケプラー繊維はダメージが繊維全体に広がるため、連続しての防御効果は2-3発程度となる)。さらにケプラー繊維には無い防刃性能を持つ。欠点としては火に弱いという点だが、スチールの10倍の強度を誇り、セラミックやスチールという補強素材を組み込まなくても使用できる点からベスト、ヘルメット以外でも装甲や防刃グローブ、レーダードームにも使用されている。コスト面でもケプラーを凌ぐ歩兵にとっては夢の素材となるだろう。
一方特殊部隊では第二次世界大戦、ベトナム戦争と機動性を重視した遊撃部隊としての色合いが強かった。一般部隊のようなヘルメットやボディアーマーなどの装備の着用は珍しく、ベストやヘルメットを持たない分、多くの弾丸や特殊装備を運搬した。しかし80年代に入り特殊部隊の対テロ対応化が進むと、短時間の突入作戦と超近接の射撃戦、爆発物に対する防護の必要性から防弾ベストやヘルメットを多く使用するようになった。また対テロ特殊装備のスタングレネードや非致死性のCSガスなどから使用者を守るためのガスマスクなども開発され、カウンターテロにおける特殊部隊の姿は一般部隊のスタイルとは大きく違う物となった。また通常作戦に於いても都市部での戦闘、作戦の経験から近接戦、銃撃に対しての防御力を想定した防弾ベストなどが多く採用されている。これらは少数で投入され危険にさらされる事の多い特殊部隊員の生命を可能な限り保護するために現在でも改良が進んでいる。更に近年驚異とされているNBC戦(核・生物・化学戦)に備えた防護装備も高性能化している。またこれらの防護装備意外にも隊員個人の作戦時の負担を軽減するプロテクターなども多く使用されている。
■ボディアーマーの歴史と性能
■NBC(核、生物化学兵器)に対する防御
BODY ARMOR
■GALAXY FRAULEIN LIGHT SUIT ライトスーツ
HELMET
■M1 HELMET AIRBONE MODEL M1/Cヘルメット
■OPS CORE FAST CARBON
NBC PROTECTION
■MCU/2P GASMASK MCU2ガスマスク
OTHERS
■ABA FACE GUARD ABAフェイスガード